Fish Food Times

平成18年 4月号




ヒラマサの個食刺身

 


個食用ヒラマサ刺身 仕入原価1,400円/kgとして

原料原価(10g×4切れ)で約125円+資材代35円=160円(商品原価)


今何故に、養殖ヒラマサ(ヒラス)なのか。

それは、養殖カンパチがまさに「異常」とも言える激しい値上がりにより、今までカンパチを刺身や鮨の主力商品として扱ってきた店などに、利益面で大変な影響を及ぼしつつあり、今後の利益低下防止対策としてヒラマサが浮上したからだ。


2006年3月末現在で、養殖カンパチ相場の高値は1,600円/kg以上になっている地域もあり、前年の2倍近い異常相場である。

それに比較して、これまでカンパチよりも常に100円から200円ほど高い価格で取引されていたヒラマサは、カンパチ相場に引っ張られて上昇基調にはあるが、まだその上昇カーブは鈍く、高値はカンパチより100円から200円程安いという逆転現象を起こしている。


カンパチの異常相場は、昨年主要産地鹿児島の台風被害による在池量減少や、中国から輸入したカンパチの中間種苗を国内養殖したものに、アニサキス菌の高頻度寄生が確認されたことによる原魚不足の影響や、 魚価低迷による養殖業者の生産意欲低下、といった要因が複合して現在の高値となっているようである。


カンパチは本来夏から秋が旬であり、これから冬のブリの代替品として大活躍する季節になってくる。

せっかくの色変わりが遅く扱いやすい身質と、こなれた価格によって、カンパチを使用する現場では完全に定着し、主力商材となりつつあった評価が、こんなことでは再び手が出せない高級品へと戻りかねない。



ヒラマサの姿はブリと良く似ているが、目の下の口の端がブリより丸みを帯びている。



価格面でカンパチよりも手に入りやすくなったヒラマサは、元々天然物においてはアジ科ブリ属の希少種として珍重されており、カンパチと同じように身質の色変わりが遅く扱いやすい。

旬もカンパチと同じ季節の夏から秋の頃だから、今年はカンパチの代替品としてヒラマサで決まり。